
親指の付け根が痛い。手首の親指側がズキッとする。物をつかむ、ペットボトルの蓋を開ける、赤ちゃんを抱き上げる。そのたびに痛みが走る。
腱鞘炎は、日常のあらゆる動作に関わるため、休ませることが難しい症状です。だからこそ、やってはいけないことを知っておく価値があります。

そもそも腱鞘炎とは
腱は、筋と骨をつなぐひもです。そのひもが浮き上がらないように押さえているトンネルが腱鞘です。
腱が腱鞘の中を何度も往復すると、こすれて両方が腫れます。腫れるとトンネルは狭くなり、さらにこすれる。この悪循環が腱鞘炎です。
手首の親指側に起こるものをドケルバン病、指の付け根に起こって引っかかるものをばね指と呼びます。
やってはいけないこと
1. 痛む場所を揉む・強く押す
いちばんやってしまいがちで、いちばん逆効果です。
腱鞘炎は、こすれによる炎症です。すでに腫れているところを外から強く刺激すれば、腫れはさらに増します。「ほぐせば良くなる」という発想が通用しない症状です。
2. 痛みを我慢して使い続ける
「使わないわけにいかないから」という気持ちは分かります。ただ、炎症が続いているあいだ使い続けると、腱鞘が厚く硬くなっていきます。ここまで進むと、休ませても元に戻りにくくなります。
完全に使わないのは無理でも、痛みが走る特定の動作だけを避けることはできます。それが何なのかを特定してください。
3. 痛みが出る方向へのストレッチ
「固まらないように」と、痛む方向に伸ばす方がいます。炎症期にこれをやると、こすれる回数を増やすだけです。
急性期は伸ばさない。落ち着いてから、少しずつ。順番が逆になっている方が多いです。
4. 温める(急性期に)
ズキズキと拍動するような痛みがある時期は、温めると腫れが増します。この時期は冷やす方向です。
痛みが「ズキズキ」から「動かすと痛い」程度に落ち着いてきたら、温めてよい時期に入ります。
5. サポーターだけで済ませる
サポーターや装具で動きを制限するのは、炎症を落ち着かせるうえで有効です。ただし、これは負担を減らす道具であって、原因を変えるものではありません。
外した瞬間に元の使い方に戻れば、また同じことが起こります。実際、「サポーターをつけているあいだは楽だが外すと戻る」というご相談は非常に多いです。
女性に多い理由
腱鞘炎は女性に多く、とくに産後と更年期の時期に増えます。
女性ホルモンには、腱や腱鞘の状態に関わる働きがあると考えられており、その変動が大きい時期に起こりやすいとされています。
産後の方の場合、これにホルモンの変化だけでなく、授乳と抱っこという負荷が重なります。赤ちゃんの頭を手のひらで支える姿勢は、親指と手首にとってかなりの負担です。
抱き方を変えられる場面では、親指を使わず手のひら全体と前腕で支える。授乳クッションを使って腕の負担を減らす。こうした工夫が、思っている以上に効きます。
こんなときは整形外科へ
- 指が曲がったまま伸びない、伸ばすときに強く引っかかる
- 手首や指が明らかに腫れている、熱を持っている、赤い
- 複数の関節が痛み、朝のこわばりが1時間以上続く(リウマチの可能性)
- しびれを伴う(手根管症候群など別の問題の可能性)
- 数か月続いて改善しない
とくに、しびれを伴う場合は腱鞘炎ではない可能性があります。手足のしびれについてのページもご覧ください。
当院での考え方
当院では、腫れている腱鞘そのものを揉むことはしません。
その代わり、前腕から肘、肩甲骨までの張りをほどきます。指を動かす筋は、実は前腕から来ています。前腕全体が固まっていると、腱が腱鞘の中を通るときの抵抗が増えます。ここを変えると、同じ動作でもこすれる量が変わってきます。
さらに、肩甲骨が動かない方は、腕全体の動きを手先だけで済ませようとします。手首と指の使用量そのものが多くなっている、という構図です。
「どのくらいで治りますか」というご質問には、正直に、手を使う量によりますとお答えしています。使わずにいられる方と、仕事や育児で使い続ける方では経過が違います。通院の目安は通院のペースをご覧ください。
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荻窪あんさんぶる治療院より
我慢して使い続けて、硬くなってしまう前にご相談ください。早いほど選択肢があります。
荻窪駅から徒歩4分、土日祝日も診療しています。ご予約・ご相談はこちらから、お電話は 050-5577-0244 へどうぞ。
この記事を書いた人
古田諭志(荻窪あんさんぶる治療院 院長/鍼灸師)
東洋鍼灸専門学校を卒業後、ネパールでの鍼灸ボランティアを経て、2011年1月に杉並区南荻窪で開業。これまでの施術数はのべ約30,000名(2019年12月時点)。中医学の専門誌『中医臨床』に症例検討を複数回寄稿しています。院長紹介はこちら




