
「坐骨神経痛と言われた」「椎間板ヘルニアと言われた」「脊柱管狭窄症と言われた」。3つとも、お尻から足にかけてのしびれや痛みで出てくる言葉です。
まず整理しておきたいのが、この3つは同じ並びの言葉ではないということです。

坐骨神経痛は「病名」ではありません
坐骨神経痛は、症状の呼び名です。 頭痛や腹痛と同じで、どこがどう痛いかを言っているだけで、原因は指していません。
そして椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症は、原因の名前です。 どちらも坐骨神経痛を引き起こします。
つまり「坐骨神経痛の原因が椎間板ヘルニアだった」「坐骨神経痛の原因が脊柱管狭窄症だった」という関係です。この2つ以外にも、梨状筋というお尻の筋による圧迫、仙腸関節の問題など、原因は複数あります。
ですから「坐骨神経痛です」と言われただけでは、まだ何も決まっていません。原因を絞るのが次のステップです。
いちばん分かりやすい見分け方:前かがみで楽になるか
これが実用的です。
椎間板ヘルニア — 腰を丸めて前かがみになると悪化します。座っているとつらく、立っているほうが楽。車の運転や、長時間のデスクワークでしびれが強くなる。朝の洗顔や靴下をはく動作がつらい。
脊柱管狭窄症 — 腰を反らすと悪化し、前かがみになると楽になります。しばらく歩くとしびれて歩けなくなり、前かがみで休むとまた歩ける(間欠性跛行)。自転車なら平気で長く乗れる。
理由は構造にあります。腰を丸めると、背骨の中を神経が通るトンネルは広がり、椎間板の後ろ側には圧がかかります。腰を反らすと逆になります。だから前かがみの効果が正反対になるわけです。
年齢の傾向も違います
椎間板ヘルニアは20代から40代に多く見られます。椎間板の中身に水分がしっかりある年代で起こりやすいとされています。
脊柱管狭窄症は50代以降に多く、加齢に伴う変化が背景にあります。
もちろん例外はありますし、両方を併せ持つ方もいらっしゃいます。
梨状筋による圧迫の場合
画像に異常がないのに坐骨神経痛が出ている方では、お尻の奥にある梨状筋という筋の緊張が関係していることがあります。
坐骨神経はこの筋のすぐ近く、あるいは筋の中を通り抜けています。長時間座る仕事の方、片側のお尻に体重を乗せる癖がある方に見られます。
前かがみでも反らしても大きく変わらず、座っている時間の長さで悪化するなら、この可能性を考えます。
すぐに受診すべきサイン
原因が何であれ、次の症状は緊急性が高い状態です。整形外科をすぐに受診してください。
- 尿が出にくい、失禁する、お尻まわりの感覚が鈍い
- 両足に同時にしびれや脱力が出ている
- 足首やつま先に力が入らず、つまずく
- 安静にしていても激しく痛み、夜眠れない
- 発熱や体重減少を伴う
対処が変わるということ
見分けが大事なのは、やるべきことが逆になるからです。
ヘルニアの方に「腰を丸めるストレッチ」を勧めれば悪化します。狭窄症の方に「腰を反らす体操」を勧めれば同じく悪化します。ところが、どちらも世の中では「腰痛にいい体操」として紹介されています。
自分がどちらなのかを知らないまま、動画で見つけた体操を始める。これがいちばん危ないパターンです。
当院での考え方
当院では、まずどの動きで症状がどう変わるかを一つずつ確認します。前に曲げる、後ろに反らす、横に倒す、ひねる。この結果から原因のある場所を絞り込みます。
そのうえで、原因の場所に負担をかけ続けている条件を探します。ヘルニアの方なら股関節が動かないぶん腰が丸まっている、狭窄症の方なら股関節が伸びないぶん腰を反らして歩いている、といった具合です。
来院された方の経過は坐骨神経痛・椎間板ヘルニアの口コミ、腰痛全般は腰痛治療の評判と口コミをご覧ください。
あわせて読みたい
荻窪あんさんぶる治療院より
自分がどのタイプなのかを確かめるところから始めましょう。
荻窪駅から徒歩4分、土日祝日も診療しています。ご予約・ご相談はこちらから、お電話は 050-5577-0244 へどうぞ。
この記事を書いた人
古田諭志(荻窪あんさんぶる治療院 院長/鍼灸師)
東洋鍼灸専門学校を卒業後、ネパールでの鍼灸ボランティアを経て、2011年1月に杉並区南荻窪で開業。これまでの施術数はのべ約30,000名(2019年12月時点)。中医学の専門誌『中医臨床』に症例検討を複数回寄稿しています。院長紹介はこちら




