
朝、顔を洗おうとした瞬間。荷物を持ち上げようとした瞬間。ぎっくり腰は、たいてい何気ない動作で起こります。
そして、そのあと最初の数日をどう過ごすかで、回復までの期間はずいぶん変わります。当院にお越しになる方の中にも、「最初にあれをやらなければ、ここまで長引かなかったのに」というケースが少なくありません。
なお、次の症状を伴う場合は、ぎっくり腰として様子を見ずに整形外科を受診してください。
- 尿が出ない・漏れる、お尻まわりの感覚がなくなった
- 両足がしびれる、足に力が入らない
- 転倒や尻もちの直後に激痛が出た(骨折の可能性があります)
- 発熱を伴う、じっとしていてもズキズキと痛みが強くなる

1. 腰が熱っぽいのに温めること
「腰が痛い=温める」と反射的に、その日のうちにお風呂でしっかり温めてしまう方は少なくありません。ただ、ぎっくり腰がすべて炎症というわけではありません。
ぎっくり腰(急性腰痛)の多くは、検査をしても痛みの出どころをはっきり特定できないタイプです。その中で炎症を伴いやすいのは、腰の筋肉や筋膜が部分的に切れたり傷ついたりした場合や、背骨の後ろ側の関節(椎間関節)を痛めた場合と考えられています。
炎症が起きているかどうかは、次のようなサインが目安になります。
- 痛いところを手のひらで触ると、まわりより熱っぽい
- 腫れている、赤みがある
- じっとしていてもズキズキと脈打つように痛む
- お風呂で温まったあと、かえって痛みが強くなった
こうしたサインがある数日間は、温めると炎症の反応が強くなり、翌朝もっと動けなくなることがあります。この時期は温めず、入浴は湯船に長く浸からず、シャワーで短く済ませたほうが無難です。冷やす場合は、保冷剤をタオルで包んで15〜20分ほどにし、冷やしすぎは避けてください。
一方、熱っぽさがなく、温めると楽になるなら、無理に冷やす必要はありません。海外の研究でも、発症まもない腰痛に温熱シートを使うと痛みが軽くなったという報告があります。迷ったら、まず手で触って熱っぽさを確かめ、お風呂で楽になるかどうかを目安にしてください。
1分ほどの動画でもまとめています。
2. 揉む・押す・ストレッチする
痛いところを揉んでほぐそうとする方がいますが、熱っぽさのある時期にこれをやると、炎症を強めることがあります。
同じ理由で、ストレッチもこの時期は避けてください。「固まらないように伸ばさなきゃ」という気持ちは分かりますが、傷んだ組織があれば、それを引っ張ることになります。伸ばすのは、痛みのピークを越えてからです。
3. コルセットを長期間つけっぱなしにする
痛みが強い数日間、コルセットで支えるのは有効です。動くときの怖さも減ります。
ただし、これを何週間もつけ続けると、体幹の筋が働かないまま過ごすことになります。外した瞬間に支えがなくなり、再発しやすい状態が残ってしまいます。痛みが落ち着いてきたら、少しずつ外す時間を増やしてください。
4. 完全に寝たきりで過ごすこと
かつては「ぎっくり腰は安静第一」と言われていましたが、現在は考え方が変わっています。痛みで動けない最初の1〜2日を除けば、痛みの出ない範囲で日常の動作を続けたほうが回復が早いとされています。
一日中横になっていると筋が固まり、血流も落ちます。トイレに行く、家の中を歩く、といった最低限の動きは止めないでください。ただし「痛みの出ない範囲で」です。無理をして動き回るのとは違います。
5. 「クセになるから」と放置すること
ぎっくり腰は、たいてい1〜2週間で強い痛みが引きます。だから「時間が経てば治る」と考えて、そのままにする方が多いです。
ただ、痛みが引いたことと、原因が解決したことは別です。ぎっくり腰を繰り返す方の多くは、股関節や胸椎の動きが乏しく、その分を腰椎が肩代わりし続けています。腰が無理をさせられている構図が残っている限り、また同じことが起こります。
「クセになる」のではなく、クセになる条件がそのまま残っている、というほうが実態に近いと当院では考えています。
当院での対応
急性期には、痛みが強い場所を直接触ることはしません。熱感などの炎症のサインがあれば、まずそれを落ち着かせ、腰以外の場所から負担を減らしていきます。痛みが引いてからは、腰に肩代わりさせている場所を探して、そこを動くようにしていきます。
実際に来院された方の経過はぎっくり腰の口コミ・感想にまとめています。通院の目安は通院のペースをご覧ください。
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荻窪あんさんぶる治療院より
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この記事を書いた人
古田諭志(荻窪あんさんぶる治療院 院長/鍼灸師)
東洋鍼灸専門学校を卒業後、ネパールでの鍼灸ボランティアを経て、2011年1月に杉並区南荻窪で開業。これまでの施術数はのべ約30,000名(2019年12月時点)。中医学の専門誌『中医臨床』に症例検討を複数回寄稿しています。院長紹介はこちら





