
「冷え性」と「冷え症」。検索すると両方の書き方が出てきて、どちらが正しいのか迷った方もいると思います。
結論から言うと、どちらも使われますが、意味合いに違いがあります。そして、それ以上に大事なのが「自分がどのタイプの冷えなのか」です。ここを取り違えると、対策が空振りします。

「冷え性」と「冷え症」の違い
冷え性は、体質を指す言い方です。病気ではなく、寒がりやすい傾向のこと。一般にはこちらの表記がよく使われます。
冷え症は、東洋医学で症状・病態として扱うときの書き方です。治療の対象として冷えを見るときに使われます。
西洋医学には「冷え症」という診断名は基本的にありません。そのため、内科で相談しても「異常なし」と言われてしまうことが多いです。一方、東洋医学では冷えは古くから重要な症状として扱われてきました。当院で鍼灸を用いるのは、この考え方に基づいています。
タイプを見分ける
冷えは「手足が冷たいこと」だけではありません。大きく4つに分かれます。
1. 末端型
手足の先だけが冷たい。体の中心はむしろ温かい、あるいはのぼせる。若い女性に多いタイプです。
体の中心の熱を守るために、末端への血流を絞っている状態と考えられます。貧血や食事量の不足が背景にあることが多く、まずそこを確認してください。
2. 内臓型
手足はそれほど冷たくないのに、お腹が冷たい。触ると本人の予想より冷えています。下痢しやすい、お腹が張る、風邪をひきやすいといった訴えを伴います。
自覚しにくいタイプで、「冷えはありません」とおっしゃる方のお腹が実は一番冷たかった、ということがよくあります。ご自身の手をお腹に当てて、太ももや胸と比べてみてください。
3. 下半身型
腰から下だけが冷える。上半身はのぼせて汗をかく。いわゆる冷えのぼせです。更年期の時期に増えます。
骨盤周りやお尻の筋の緊張で下半身への血流が落ち、行き場をなくした熱が上に集まっている状態と考えられます。
4. 全身型
全体的に体温が低く、いつも寒い。食事量が少ない、筋肉量が少ない、甲状腺機能の低下などが関係することがあります。
冷えの前に確認したい病気
冷えを体質と決めつける前に、次の場合は内科を受診してください。
- 強い倦怠感、むくみ、体重増加、便秘、髪が抜けるを伴う → 甲状腺機能低下症の可能性
- 立ちくらみ、動悸、息切れ、爪が白い → 貧血の可能性
- 片足だけが冷たく、色が悪い、歩くとふくらはぎが痛む → 動脈の血流の問題。これは急ぎます
- 手指が白→紫→赤と色が変わる → レイノー現象。膠原病が背景にあることがあります
とくに「片側だけ」の冷えは体質では説明できません。必ず受診してください。
タイプ別にやることが変わります
末端型に厚手の靴下を重ねても、供給される血液そのものが少なければ限界があります。まず食事量と鉄の状態を確認するほうが早いことがあります。
内臓型は、腹巻きや温かい飲み物といったお腹を直接温める方向が合います。逆に、末端だけを温めても中心は変わりません。
下半身型は、温めるより動かすほうが効きます。お尻と股関節周りの緊張をほどいて、下半身に血液が入っていける状態を作ることが先です。
当院での考え方
当院では、お腹と足を実際に触って、どこがどのくらい冷えているかを確認するところから始めます。ご自身の感覚と、触ってみた実際の温度が一致しないことは珍しくありません。
お灸は、冷えに対して古くから使われてきた方法です。お腹や足のツボに温熱を入れていくと、施術中にお腹が動き出す方がいらっしゃいます。
冷え症の鍼灸治療についてはこちらのページ、お灸そのものについては灸施術についてをご覧ください。
荻窪あんさんぶる治療院より
「体質だから」とあきらめる前に、どのタイプなのかを確かめてみませんか。
荻窪駅から徒歩4分、土日祝日も診療しています。ご予約・ご相談はこちらから、お電話は 050-5577-0244 へどうぞ。
この記事を書いた人
古田諭志(荻窪あんさんぶる治療院 院長/鍼灸師)
東洋鍼灸専門学校を卒業後、ネパールでの鍼灸ボランティアを経て、2011年1月に杉並区南荻窪で開業。これまでの施術数はのべ約30,000名(2019年12月時点)。中医学の専門誌『中医臨床』に症例検討を複数回寄稿しています。院長紹介はこちら




