
「四十肩ですかね」「いや五十肩かも」。肩が上がらなくなった方から、よくこう聞かれます。
結論から言うと、四十肩と五十肩は同じものです。医学的にはどちらも肩関節周囲炎と呼ばれ、発症する年代によって呼び名が変わっているだけです。40代で出れば四十肩、50代で出れば五十肩。中身に違いはありません。
一方で、これと「肩こり」はまったくの別ものです。ここを混同したまま対処すると、遠回りになります。

決定的な違いは「夜間痛」
肩こりと四十肩を分ける、いちばん分かりやすい目印が夜間痛です。
肩こりは、じっとしていれば楽になります。寝ている間に悪化することはあまりありません。ところが四十肩は、夜中に痛みで目が覚めます。とくに痛む側を下にして寝られない、寝返りを打った瞬間に激痛が走る。この訴えが出てきたら、単なる肩こりではないと考えたほうがよいです。
なぜ夜に痛むのかというと、横になると肩関節にかかる血流や圧の条件が変わり、日中は気にならなかった炎症の刺激が前に出てくるためだと考えられています。当院にお越しになる方でも、この夜間痛をきっかけに来院を決めたという方が最も多いです。
もうひとつの違いは「他人に上げてもらっても上がらない」
肩こりの場合、自分では重くて上げにくくても、誰かに腕を持ち上げてもらえば上がります。可動域そのものは残っているからです。
四十肩では、他人が持ち上げようとしても途中で止まります。関節そのものと、その周囲の組織が硬くなって動きを制限しているためです。とくに、腕を横に開いて外向きにひねる動き(結髪動作=髪を結ぶ動き)と、背中に手を回す動き(結帯動作=エプロンのひもを結ぶ動き)が早い段階でできなくなります。
ご自身で確認するなら、痛くないほうの腕と比べてみてください。左右で明らかに差が出ていれば、可動域の制限が起きています。
時期によってやるべきことが変わります
四十肩がやっかいなのは、経過に段階があり、段階ごとに正解が変わることです。
痛みが強く、夜も眠れない時期は、動かして広げようとしても逆効果になりやすいです。この時期に「固まるから動かさなきゃ」と無理に振り回してしまい、かえって痛みを長引かせる方が本当に多い。まずは痛みを落ち着かせることが優先です。
痛みが落ち着いて、動かないことのほうが問題になってくる時期には、逆にしっかり動かしていく必要があります。ここで安静を続けると、そのまま可動域が戻らなくなることがあります。
つまり、同じ四十肩でも「今どの時期か」で真逆の対応になります。ネットで見つけた体操をいきなり始める前に、今どの段階なのかを確認したほうがいい理由がここにあります。
念のため、こんなときは整形外科へ
- 転倒や強くぶつけた直後から上がらなくなった(腱の断裂や骨折の可能性)
- 発熱を伴う、肩が赤く腫れて熱を持っている
- 肩だけでなく手にしびれや力の入りにくさがある(首が原因のことがあります)
- 安静時の胸の痛みや息苦しさを伴う
とくに一番下は、心臓の問題が肩の痛みとして出ることがあるため、迷わず受診してください。
当院での考え方
当院では、肩そのものだけを見ません。四十肩の方の多くは、肩甲骨が背中に貼りついたように動かなくなっていて、その分を肩関節が肩代わりしている状態にあります。肩関節が無理をさせられている構図です。
ですから、肩甲骨と胸郭、そして背骨の動きを取り戻すことを並行して行います。肩だけをほぐしても戻ってしまうのは、無理をさせている条件が変わっていないからだと考えています。
肩・首・背中でお困りの方の経過はこちらのページにまとめています。
荻窪あんさんぶる治療院より
夜眠れないほどの肩の痛みは、我慢して過ごすには長すぎる期間続くことがあります。早い段階でご相談ください。
荻窪駅から徒歩4分、土日祝日も診療しています。Web限定の初回割引もございます。ご予約・ご相談はこちらから、お電話は 050-5577-0244 へどうぞ。
この記事を書いた人
古田諭志(荻窪あんさんぶる治療院 院長/鍼灸師)
東洋鍼灸専門学校を卒業後、ネパールでの鍼灸ボランティアを経て、2011年1月に杉並区南荻窪で開業。これまでの施術数はのべ約30,000名(2019年12月時点)。中医学の専門誌『中医臨床』に症例検討を複数回寄稿しています。院長紹介はこちら





