筋肉の張りを取る方法は、筋膜リリース・トリガーポイント、ツボ療法、ストレッチなど……専門的な方法が多くて、一般の人には正直面倒くさいですよね。
筋肉の張りがあると、肩こり・首こり・背中のこりなど辛い症状でも悩んでいます。
解消方法としては、同じ姿勢でいないことが重要です。肩甲骨はがしやほぐすことをしてもその時だけです。
今回は、鍼灸師・健康オタク目線から誰にでもできる筋肉の張りを取る方法をお伝えします。
ひと言でいうと、「さすること」「大腰筋のストレッチ」です。
筋肉に張りがでる理由と8つの原因
筋肉に張りがでる理由は一言でいうなら筋肉を動かしていないから。当然スポーツなどで使いすぎた筋肉には張り感がでて、筋肉痛の痛みがでます。
同じ姿勢でいたり、運動不足だったりすると筋肉が伸びる縮むという動きがやりづらくなってきます。
例えるなら調理前の高野豆腐のような感じ。カッチカチです。
水を含んでいればふわっとした柔らかい状態の筋肉ですが、動かさないから筋肉が筋張って柔軟性がなくなってきます。
そんな状態にもかかわらず、座りっぱなしで背中の筋肉が動かない状態であれば、パンパンに筋肉が張った状態になってもおかしくありません。
コリとハリの違いってなに?
- 筋肉のコリとは筋肉が硬く緊張してしまっている状態。筋肉を緩めても中でコリコリしたスジ張ったような筋肉があります。
- 筋肉の張りとは姿勢などによって筋肉が引き延ばされた状態。触っても、筋肉が突っ張ったような感じがあります。
コリと違って緩めた状態にすると、触られても痛くもありません。
筋肉のコリと張りの共通点としては、どちらも血流が悪くなっているので疲労物質が溜まりやすくなっています。
イメージとしては筋肉の張りの方が不快な症状は弱く、筋肉のコリの方が不快な症状が強くなります。
筋肉のコリも張りも共通しているのは筋肉のポンプ作用の欠如。緩めたり縮んだりができていないために起こります。
筋トレやスポーツをおこなった後も筋肉の張りが起こります。
持続的に筋肉を使うと筋肉も血流が悪くなり、疲労が溜まって張り感がでてきます。
デスクワークなどで背中や肩が張ってくるのも、姿勢を保つために背中の筋肉や肩の筋肉を使っているからです。
スポーツをやっている人が、コリやハリで辛さを比較的感じないのは、普段から筋トレで筋肉を動かしているからです。
筋肉のもともとの仕事"伸びたり縮んだりのポンプ作用"をおこなうことが、筋肉の張りを取る方法のヒントになります。
パンプアップ
筋トレをしている人はご存知と思いますが、筋トレ後は筋肉が肥大する状態が起きます。
これをパンプアップといいます。
※パンプアップは筋トレ直後10分から20分程度筋肉が肥大した太くなった状態です。
理由として筋トレ後の疲労物質を体外に排出するするために、そこに血液が多く集まり筋肉が肥大します。
普段運動していない人が、翌日や2日後に筋肉痛を感じるのは体の疲労回復のシステムがうまく出来上がっていないので、疲労物質が筋肉に溜まったままになっているからです。
それでは、筋肉に張りがでる原因をお伝えしましょう。
1.同じ姿勢を続けて筋膜がガチガチに硬くなっている
筋膜とは筋肉を包んでいる膜です。
イメージとしては魚肉ソーセージを包んでいるパッケージのような感じ。
筋肉と同様、筋膜も動かさない状態が長時間続くと"膜にシワが寄ったような状態"になり、そこが硬く膠着したような状態になります。
柔軟性のない筋膜はガチガチになり、さらにシワが寄ったような状態になっているとそこには触るとシコリのようなものを感じます。
2.筋肉を使っていない
筋肉に張りが出る理由や原因でもお伝えしましたが、筋肉を使っていないと柔軟性がなくなります。伸びて縮んでという筋肉本来の動きができなくなり、筋肉の張り感や硬さを感じます。
3.へたくそなマッサージはさらにコリや痛みを増す
へたくそなマッサージを受けると揉み返しが起きます。
駅前のマッサージ店などに行った経験のある人は、もみ返しを経験している人もいるかもしれません。
もみ返しは、筋肉に過剰な負荷をかけて押すことにより局所的に筋肉が損傷している状態です。
漸進性過負荷の原則(ぜんしんせいかふかのげんそく)といい、筋トレによっても同じような症状が起きます。
筋トレの場合は筋肉痛と呼ばれる全身の症状。
筋トレの場合は、少しずつ自分の限界を超える負荷で筋トレをおこないます。体が慣れてきたらさらに少し負荷を上げる。これを繰り返しておこなっていきます。
へたくそなマッサージは揉み返しと呼ばれる局所的な症状。
へたくそなマッサージにより局所的に強い刺激を筋肉が受けると、もみ返しが起こってしまいます。そして、その刺激には体が慣れてきます。なぜならば自分自身の筋繊維が肥大して軽い力ではきかなくなっている証拠です。
そして今度はもっと強くをしてほしいというリクエストをしてしまい、肘で押したり・足で踏んだりしてしまい、質の悪い筋肉をどんどん作り上げてしまいます。
※あんさんぶる治療院は、指圧やマッサージのように揉むことはおこないません。
4.肩甲骨が離れている(猫背)
長時間のデスクワークや、慢性的な猫背姿勢によって、肩甲骨が背骨から離れた状態は筋肉の張りを作る元になります。
特に肩甲骨を背骨に寄せる「菱形筋:りょうけいきん」と呼ばれる筋肉が引き延ばされた状態になるので、肩甲骨と背骨の間を重だるい痛みやコリ張りを感じてしまいます。
東洋医学のツボで言うと、「膏肓:こうこう」と言うツボがあります。関西だと「ケンビキ」と呼ばれる部分に当てはまります。
5.無意識に歯を食いしばっている
歯を食いしばることによって、アゴや首・こめかみあたりの筋肉が使いすぎ、張ってしまいます。
咀嚼筋(そしゃくきん)という噛むための筋肉が全体的に硬くなってしまい、筋肉の張り(特に首の後ろや背中)を感じてしまいます。
6.無意識に食事は同じ側で噛んでいる
歯の治療中や、昔からの噛みグセによって同じ側の歯でばかり食べていると、左右の噛む筋肉の張りが変わってきます。
左右の噛む筋肉の張りによって、美容的にアゴが歪んだような顔になってしまい、女性の場合悩む方も多いでしょう。
左右差がでてしまうと、いつも同じ決まった側の頭痛が発生しやすくなります。
7.無意識のうちに腕が内側にねじれている
腕が内側にねじれている状態や、親指を握り込んでしまうクセがある人は要注意。無意識に筋肉に力が入ってしまい張り感が強くでてしまいます。
イメージでいうならばボディービルダーのポージングのひとつのようです。
肩や背中・腕に筋肉の張りが出てくるので、コリ感も出てきやすくなります。
リラックスするためには、手のひらが上に向いているような状態(お釈迦様や一休さんのとんちを考えるとき)が理想です。
8.無意識のうちに呼吸が浅くなっている
呼吸が浅くなる原因としては、ストレスがまず考えられます。
または姿勢の悪さや、背骨につながっている大腰筋の柔軟性が乏しいと、体がどんどん猫背になってしまうのです。
背部を使った呼吸や胸の筋肉・呼吸に関係する筋肉が、硬くなってしまい呼吸がうまくできなくなります。
当然姿勢も悪いので、横隔膜を使った呼吸が浅くなるでしょう。
セルフチェック!体のどの部分が「壁にぴったり」ついていますか?
解剖学的に体の良いと言われる姿勢は決まっています。壁に背中をぴったりつけてどこがちゃんとつくかチしてみましょう。
後頭部はついていますか?
後頭部がつかない状態はアゴが前にでている状態。そしてほとんどの方が背中も丸くなっています。
さらに姿勢がもっと悪い人は、お尻も壁につきづらかったり、膝の後ろもスカスカに開いたような状態になります。
筋肉の張りを取る方法
治療家の意見としては、もちろん施術を受けてもらったほうが筋肉の張りを取るのに最短距離だと思っています。
ただし、ほとんどの人が日常生活で筋肉の張りを感じているので、毎日できるセルフケアをお伝えします。
大切なのは筋肉のバランス
筋肉はどこの部位も曲げる側と伸ばす側に筋肉があります。これを屈筋群、伸筋群よ呼びます。
屈筋群・伸筋群の筋肉のバランスが崩れたときに筋肉の張りを感じてしまいます。特に人間は骨格上曲げる側に筋肉が働きやすいため、
- 体感であればおなか側=猫背
- 腕であれば力こぶ側=上腕二頭筋
- 太ももであればモモの裏側= 大腿二頭筋
曲がる側に収縮していきます。
そして伸ばされた側に張りを感じます。そのまま放置しておくとコリや痛みを訴えてきます。
人間は曲がる側の筋肉が縮んでいき、加齢ともに関節の変形にもつながっていきます。
筋肉の張りをとる方法は、筋肉の裏と表の関係を知らなけれ解消しない
腰の張りを感じる場合は。腰の筋肉ではなく、その裏側のお腹側(大腰筋だいようきん・腸腰筋ちょうようきん)の筋肉を調整する必要があります。
- 背中の張りであれば、腹筋や胸の筋肉
- 首の後ろや肩のあたりの張りを感じるのであれば、首の前や鎖骨周辺にある筋肉の調整が必要になります。
背中の張り解消に!腹筋・胸筋・脇腹の筋膜ほぐし
背中であれば胸筋のストレッチ、または軽く腹筋や胸筋をマッサージしたり、ワキの下や肋骨の横をマッサージしましょう。
首、肩まわりの張り解消に!首の付け根筋膜ほぐし
首や肩のコリを感じ、張りを解消するのであれば、首の前(胸鎖乳突筋・斜角筋)と呼ばれる首の前から横にある筋肉をさすったりマッサージしたりしましょう。
立ち仕事の合間に!もも裏の筋膜ほぐし
立ち仕事で足の張りを感じるのであればアキレス腱を伸ばすストレッチや、もも裏を伸ばす前屈などが良いでしょう。
座りっぱなしのお尻は硬い!お尻の筋膜ほぐし
お尻の筋肉(主に大殿筋)は姿勢を保持するために使われているので、お尻も張りやコリ・痛みを感じやすいひとつ。
座った状態で片足はあぐらを組むような状態にして、胸を足に近づけるように前に倒していきましょう。
お尻とふとももの境目が伸ばされる感じを味わいましょう。
イスに座ったままできるおすすめ背中ストレッチ方法
画像引用:レタスクラブニュース
手を伸ばした状態で両手を組んで、背中をぐっと丸めることもやっておきましょう。
背中の筋肉をしっかりストレッチできます。
また肩甲骨の位置が悪く猫背になっているのであれば、壁を使って腕立て伏せのように肩甲骨が動くことを味わいましょう。
注意点! 必ず指先は内側に向いた状態で腕立て伏せ上動作をおこなってください。逆にすると肩を痛めることになります。
筋肉の張りを取るには毎日のメンテナンスを
筋肉のメンテナンスで患者さんにどんな症状であれおすすめしているものがあります。
お風呂上がりに全身をさする
- シャワーを浴びて体が濡れている状態でおこなう
- バスタオルで体を拭く前に全身の水気をしごき取るような感じで、さわれる範囲はすべてさする
- 肩甲骨や背中の真ん中あたりは自分で触ることができませんが、筋肉はつながっているので、効果を感じることは可能です。
特に立ち仕事や筋トレをした次の日などは、疲れが溜まっているのでさすると軽い力でも痛みを感じます。
強く揉むようなことはしなくて大丈夫です。
たった1分くらいなので、私も毎日の日課です。バスタオルで拭くのも楽になりますよ。
体のゆがみの調整
体のゆがみは、整体師などは"骨盤が歪んでいるから"という説明をする人もいます。しかし間違いです。
筋肉の使い方によって、結果的に見かけ上骨格をゆがめたような状態になっているだけです。
だから体の歪みを取るためには、適度な運動が必要です。
効率よく筋肉を動かす運動をするなら、大きな筋肉から動かすことが良いでしょう。
特に大腰筋の筋肉は、意識的に使えるようにストレッチをしておきましょう。
※イラストは、ヨガの三日月のポーズです。だから腕はおろした状態でOKです。ポイントはそけい部を伸ばすこと!
まとめ
筋肉の張りを取る方法は、筋肉を同じ状態で長くいないことが大切。
適度に運動している人は、全身の筋肉が伸びたり縮んだり、筋肉本来の働きをさせてあげているはずです。
当然いいコンディションの筋肉は、ふわふわと柔らかく張り感やコリもありません。
逆に筋肉があまりなくて、運動をしていない人は、筋肉の質が悪く、硬く筋張ったような状態になっており、触っても変な張りを感じます。
おすすめの方法は、お風呂上がりに全身をくまなくさすること。体のバランスを取るために、体の根本にあたる大腰筋のストレッチをおこなっておきましょう。