お灸の効果はいつから?【鍼灸師が解説】即効性がないと思ってる?関節痛にお灸がヤバい

お灸の効果はいつからある? と聞かれたら、即効性があると私は思っています。ほんの少しのもぐさをツボにのせると、覚醒したような感覚を味わうことがあります。

もちろん慢性症状にはお灸=「久しく火」をのせる必要があります。

鍼とは違う効果は、日本の医学の歴史でも民間療法として長く親しまれてきました。今回はお灸の効果はいつからあるかは、お灸の種類や症状によって違うので、そこをくわしくお伝えしたり、熱くないと効果がないのか? タイミングや頻度。視力回復や腰痛をお灸でどうすればいいかなどお伝えします。

お灸の効果はいつからあらわれる?

昔は今よりお灸が盛んだったため、民間療法として、ポピュラーなものでした。「灸百日」という言葉もあり、慢性的な症状でも100日お灸をすえれば効果が出てくるという意味です。

たしかに細胞の新陳代謝は正常な状態ならば3か月で体が新しく生まれ変わると言われています。

出典:ウィキペディア

だけど、実際のところ、お灸の種類や症状によって違ってきます。

お灸の種類

せんねん灸タイプ

せんねん灸タイプ

直接肌にもぐさの火が触れない日本でもっともポピュラーなお灸です。ただし、次で紹介する直接灸タイプが本来のお灸なので、お灸の効果があらわれるまで遅い傾向があります。

だけど、個人でおこなうなら、シールタイプになっており、安全でそれなりの効果を得られるせんねん灸タイプは一般の人にオススメします。

直接灸タイプ

お灸の効果が1番早くあらわれるのが直接灸タイプ。

ヨモギが原料して作られたもぐさを艾炷(がいしゅ)といって、米粒程度の大きさにひねる必要があります。

お灸をするためには、技術が必要なため、一般の人ではなかなかむずかしいトコ。だけど、昔からお灸をおこなっているおばあちゃんはできる人もいます。

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棒灸タイプ

棒灸

ヨモギを筒状にして巻いたものが棒灸と呼ばれるもの。直接肌に触れることはないので、温熱効果だけになりますが、せんねん灸より安全です。

温める効果は直後から感じることができます。ただし、煙が多いのが難点。※炭化させた無煙棒灸というものもあります。

動物に棒灸をおこなうなら無煙棒灸がオススメ!

貼るお灸タイプ

カイロのように貼るタイプのお灸です。火は一切使用しません。

カイロのように貼るタイプのお灸です。火は一切使用しません。カイロとの違いは、熱が届く深さが違います。お腹が冷えたときなどに、貼っておくとじんわり温かいですが、お灸の効果はあってもさほど強くありません。

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急性症状

お灸は漢字で書くと久+火です。基本的には急性症状には使いません。

だけど、足首を捻挫したときなど糸のように細い直接灸(糸状灸)を痛みを感じる箇所にすえると鎮痛作用があり効果的です。

チクンという刺激が必要なので、せんねん灸や棒灸などは不適です。悪化する場合もあるので一般の人はやらないほうがよいです。

慢性症状

慢性的な痛みがある腰痛や足の疲れなどには、お灸がオススメ!

慢性的な痛みがある腰痛や足の疲れなどには、お灸がオススメ! 簡単な疲れ程度ならせんねん灸で十分効果を実感できるでしょう。

ただし、慢性症状が治るというのはかなり時間がかかるので、一般的には対処療法と思ってよいでしょう。

お灸の効果をすぐ実感できるものが、関節痛だと個人的に思っています

お灸の効果をすぐ実感できるものが、関節痛だと個人的に思っています

私は鍼灸師なので、鍼もお灸もおこないますが、9割くらい鍼での施術です。お灸をどういうときに使用するかというと関節痛です。とくに指の関節が痛くて曲がらない・腱鞘炎には「お灸の効果はいつからではなく、その場で実感できます。」

お灸をおこなうタイミングについて

24時間いつお灸をおこなってもタイミング的に問題ありません。ただし、お風呂上がりすぐや入る前は止めましょう。温熱の感じかたや、灸あたりを予防するために1時間くらいは空けましょう。

※灸あたりとは、湯あたりのように体に熱が入りすぎてダルさなどの症状が出てしまうこと。

自宅で時間を決めておこなうなら就寝前がよいでしょう。

お灸と指圧マッサージのツボは同じ部分なの?

足太陽膀胱経

お灸をすえる場所と、指圧・マッサージで使用するツボは同じ箇所です。専門的にいうと経穴(けいけつ)といいます。

経穴以外にも阿是穴(あぜけつ)といい、押して気持ちいい箇所にもお灸や指圧・マッサージをおこなうこともOKです。

お灸の場合、熱エネルギーを補うことが多いので、押して凹む感じ(陥下無力)に使用することが多いです。

お灸は熱いほうが効果がありますか?

お灸は熱いほうが効果がありますか?

一概に言えないのですが、基本的には熱いから効くということはありません。

せんねん灸なら、ソフトタイプからはじめて熱さをあまり感じないならレギュラーやハードに変更していくとよいでしょう。

だから、最初から大きな箱で買うのはもったいないです。

一般の人がすえるお灸ならご自身の体質(冷えタイプ・普通タイプ)に合わせましょう。

プロ(鍼灸師)は、直接灸で熱を調整します。

  • お灸の大きな
  • お灸をひねる硬さ
  • もぐさの質
  • お灸をすえる回数

で、熱を調整します。

熱量が多すぎると、オーバードーゼ(刺激過多)になり、灸あたりを起こしてしまいます。

あと、現代では一部のお寺などでおこなっている打膿灸(だのうきゅう)と呼ばれるものがあります。

あなたのおじいちゃんやおばあちゃんの背中に、100円玉や500円玉サイズのヤケドが背骨に沿って並んでいませんでしたか?

これが打膿灸と呼ばれるもので、無病息災を願ってわざとヤケドを作るお灸のやりかたです。

理屈として、ヤケドを作り、バイキンと戦う成分(白血球)を増やすというもの。

お灸の効果で1年間元気で過ごせるようやっています。

もちろんめちゃくちゃ熱いし、痒さも出てくるようです。

ちなみに、あんさんぶる治療院ではおこなっていません。

お灸をどのくらいの頻度でやると効果がある?

お灸をどのくらいの頻度でやると効果がある?

症状や体質にも関係しますが、最大1日2回でも問題ないでしょう。

ただし、

  • 自分自身でせんねん灸をすえる
  • 使用するツボはふたつくらい

治療院でおこなう場合は、よほどの急性症状以外は、週に一度でよいでしょう。

お灸は長期間おこなうもので、慢性症状に使用することが多いです。

自宅でのお灸は、漢方薬のように体質改善というイメージになるでしょう。

お灸で視力回復や目の疲れに効果のあるツボや方法は?

合谷穴

お灸や鍼には禁忌となる場所があります。

ざっくりいうと、首から上にお灸をおこなうことはかなり少ないです。

お灸でツボを刺激するなら、手や足を使用したほうが安全です。

理由はふたつ

東洋医学でよく出てくる「気」という概念。

  • ちょっとうさんくさいのですが、「気」は上行する性質があるので、肩こりや眼精疲労などは、「気」が昇っている可能性もあります。

ヤケドのリスク

  • もし、お灸にこだわるなら合谷穴。

左右の第1、第2中手骨の間で第2中手骨よりに取穴する。

ほかにも、風邪のひきはじめや鼻、歯の痛みなど首から上の症状に効果的。肩コリ、ストレスなど万能のツボのひとつ。

眼精疲労を自宅でセルフケアする場合、私ならツボの指導はしません。

目に充血があるなら目をアイシング。首の後ろを温める

目に充血がないなら目を蒸しタオルで温めたり、レンチンできるアイマスクで温めることをオススメします。

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せんねん灸を自分でできない背中を家族にやってもらうと医療行為で違法?

はり師・きゅう師の資格の場合、医療類似行為となるのでまず医療行為ではありません。

最近は家族間でも金銭やその他のトラブルが起きることがあります。

私自身が患者さんから同じ相談を受けたら「止めたほうがいい」と無難な返答をすると思います。

だけど、自分が鍼灸師でない場合、家族に頼まれたことわる理由もないのでおこなうでしょう。

友人・知人だった場合は、「やってもらう」のも「やってあげる」のも止めたほうがいいです。

腰痛に自分でせんねん灸をするなら手の届く範囲のツボを知りたい

ずばり腎兪・志室・大腸兪がよいでしょう。

  • 腎兪……ヘソの高さと同じ背骨から左右指2本分外側にあります。
  • 志室……腎兪からさら外側

大腸兪……左右の骨盤の上端を結んだ高さにある腰椎をはさんだ両側あたり

お灸は同時に何箇所までおこなっていい?

お灸は同時に何箇所までおこなっていい?

これも自分自身でおこなうことを前提に話ますが、目で確認できて手が届くなら同時に4つお灸をすえても問題ないでしょう。

そのときのポイントは、時間差ですえること。

  • 同じタイミングで火を付けると、熱くなったときに、どれが熱いかわかりません。
  • タイミングをずらしておけば、熱くてツボからお灸を動かすときに余裕があります。

お灸を昔からおこなう人は、お灸のファンになっており、昔病院勤務だったとき全身をお灸のみで治療したことがあります。

頭のてっぺんから足裏まで……50分でビシバシお灸をおこなっていました。

まとめ

お灸の効果はいつからと聞かれると、即効性があると答えている理由はご理解いただけたでしょうか?

慢性症状は毎日コツコツすえる必要がありますが、足のダルさや腰の疲れ。手の関節痛など即効性があるお灸のやりかたはたくさんあります。

ぜひお灸未体験の人は試してみましょう。

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