漸進性過負荷の原則と揉み返しのあるマッサージの共通点と違い

ギリシャ神話のなかに、ミロという名の少年の話があります。「ペットの子牛を抱いてどこにでも連れ歩く」というちょっとあり得ない設定ですが、子牛は少しずつ成長するので、ミロもどんどん体が大きく強くなりました。そして大人になったミロは国1番の最強の男になったという話。

これがまさに”漸進性過負荷の原則(ぜんしんせいかふかのげんそく)”です。

トレーニング時の負荷を漸進性(ちょっとずつ)に過負荷(ちょっと重い)をあたえる原則。筋パワーを向上させるのが目的です。筋力に合わせてプログラム変数をおこないトレーニングに適応できるようにします。

同じ負荷ではなく、少しずつ強負荷にしていくと、筋トレだったら理想のボディメイクができるというもの。

今回は、アスリート(トレーニング経験者)にも、筋トレ初心者にもわかるようにむずかしい言葉をできるだけ排除してお伝えします。

漸進性過負荷の原則(ぜんしんせいかふかのげんそく)とは

漸進性過負荷の原則(ぜんしんせいかふかのげんそく)とは

 

漸進性過負荷の原則とは普段慣れている刺激を超える刺激を少しずつ体に与えていくと言うもの。

例えば

  • 10キロの負荷になれたら11キロに増やす
  • 11キロの負荷になれたら12キロの負荷に増やす

また

  • 腕立て伏せ10回だったものを12回に増やす
  • 腕立て伏せ12回になれたら14回に増やす

このように少しずつ重さや回数を増やしていく筋トレで用いられる言葉です。

言葉の意味としては「漸進性の原則」と「過負荷の原則」に分けられます。

トレーニングの基本となる原則として「過負荷」「意識性」「個別性」「全面性」「反復性」「漸進性」があります。

トレーニングの基本となる原則として「過負荷」「意識性」「個別性」「全面性」「反復性」「漸進性」があります。

漸進性の原則

漸進性とは

順を追ってだんだんに進むこと。「目標に向かって漸進する」

引用:コトバンク

過負荷の原則

過負荷とは、ある一定以上の負荷(閾値)をかけること。筋トレだと重量や回数を増やす。

筋トレや練習で筋力や体力アップを目的にするなら、今までおこなっている運動より回数や強度・難度を上げる必要があります。これが過負荷(オーバーロード)の原理といいます。

参考:「トレーニングの原理・原則」に関する一考察 名古屋学院大学総合研究所

漸進性過負荷の原則を活用するとマッチョにも細マッチョにもなれる

漸進性過負荷の原則を活用するとマッチョにも細マッチョにもなれる

筋トレの場合だと体の状態をキープするのであれば、漸進性過負荷の原則を活用する必要はありません。ただし「胸の筋肉を増やしたい」・「腹筋をバキバキに割りたい」と言うのであれば漸進性過負荷の原則を活用する必要があります。

理論上は体の状態をキープするには漸進性過負荷の原則は必要ありません。

しかし、人の体は年齢とともに体力や筋力が低下していきます。同じ状態をキープしたいのであれば漸進性過負荷の原則を活用しなければ、加齢による体力の低下を防ぐことができません。

漸進性過負荷の原則にしたがったトレーニング

使う重量を上げる

ダンベルやペットボトルの水を1キロだったものを2キロに増やす。

ダンベルやペットボトルの水を1キロだったものを2キロに増やす。

レップ数(reps)を増やしていく

レップ数(reps)を増やしていく

今まで腕立て伏せ10回でおこなっていたものを12回に増やす。

レップ数とは筋トレで使う言葉ですが、例えば3 × 12repsだと12回を3セットと言う意味になります。

セット回数を増やす

腕立て伏せを10回3セットだったものを10回4セットにする。

セット間インターバルを短縮する

セット間インターバルを短縮する

腕立て伏せ10回やった後に1分間の休憩だったものを、50秒の休憩(インターバル)にする。

動きのスピードをUPさせる

水泳のクロールを25メートル25秒で泳いでいたものを23秒に設定して泳ぐ。

トレーニングの頻度を増やす

今まで1週間に1度の筋トレを週2回に増やす。

トレーニングのレベル(難易度)を高くする

腕立て伏せであれば、膝をついた状態での腕立て伏せを足の指先を使っての腕立て伏せに変えたり、腕の開きの幅を変えたりする。

重量を上げる目安は?

例えばベンチプレス3セット10レップだった場合、3セット目で10回より2回多く上げることができ、なおかつ次回のトレーニングでも12回できるようであれば重量を上げて良いでしょう。

漸進性過負荷の原則で効率よくトレーニングができているか判断する方法

漸進性過負荷の原則で効率よくトレーニングができているか判断する方法

トレーニング後や、翌朝の筋肉の張り・筋肉痛が目安になるでしょう。

体が慣れている負荷であれば筋肉痛は起きません。適切な刺激を与えていれば筋肉痛が起きるはずです。ただ筋肉痛は一定数筋肉がダメージをうけている状態。適切な頻度でトレーニングをおこなわないと自分で体を壊すことになりかねません。注意しましょう。

漸進性過負荷の原則と指圧やマッサージが効かなくなる過程は同じ

漸進性過負荷の原則と指圧やマッサージが効かなくなる過程は同じ

指圧やマッサージを昔からうけている人ほど、軽いマッサージでは効かなくなり、全体重をのせた指圧や、肘でおさないと効かなくなる人が多くなります。

そして、指圧やマッサージをうけると揉み返しになる人がいます。

揉み返しが起きると数日後に効果が出ると思っている人がいますが、これは間違いです。

揉み返しがなくても効果は十分あります。

揉み返しは刺激量過多(オーバードーゼ)です。この刺激は筋肉へのダメージなので、局所的に筋肉痛が起きています。

これは、漸進性過負荷の原則と同じ理論で考えると納得します。

最初は軽いマッサージ≒筋肉への負荷→揉み返しが起きる→筋肉が無駄に肥大する→効かなくなるので刺激量(指圧の力や施術時間を増やす)をアップする→また揉み返しが起きる→さらに筋肉が無駄に肥大する→効かなくなるので刺激量を増やす。

これの繰り返しです。

漸進性過負荷の原則と揉み返しの共通点と違い

漸進性過負荷の原則と揉み返しの共通点は、負荷によって筋肉への刺激がある。

漸進性過負荷の原則と揉み返しの違いは、筋肥大は起きるが漸進性過負荷の原則はトレーニングによって手に入れるので筋肉の質がいい。

揉み返しは、下手なマッサージによって筋肉がダメージをうけた結果。筋張った質の悪い筋肉。もともと運動習慣がない人だと筋肉の柔軟性がないので余計に凝った感じになる。

まとめ

漸進性過負荷の原則はトレーニングでもちいる原則。適切におこなえば確実にボディメイクになります。

揉み返しは漸進性過負荷の原則の理論で考えると共通点がありますが、質の悪い筋肉になるので肩こりや腰痛が徐々に悪化してしまいます。

揉み返しは「刺激量のコントロールができていない」と覚えておきましょう。

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