オスグッドの診断
1番確実なのは、病院(整形外科)でレントゲン(X線)検査です。その他にも、MRIでも確認できますが、一般的にはレントゲンでわかります。
オスグッドかどうか自分で調べる方法
画像引用:クリニカルマッサージ 医道の日本社 P292
自分で確認したり、親御さんが確認したりする場合は、脛骨粗面(けいこつそめん)の圧痛や患部の隆起である程度わかります。
治療院などでは、レントゲンなどの検査はできないので、うつぶせになった状態で、膝を曲げて、かかとがお尻につくかどうか調べます。
画像引用:筋骨格系検査法 医歯薬出版 P289
主に大腿四頭筋のじゅうなん性を確認しています。
オスグッドの場合、かかとがお尻につきません。さらに悪化したオスグッドだと膝を曲げるとお尻がプクッと浮き上がります。(尻上がり現象といいます。)
オスグッドと、その他の膝のスポーツ障害の違いを確認する
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症状 | 原因 | 特徴 | 確定診断 | |
オスグッド | 脛骨粗面(けいこつそめん)の圧痛や患部の隆起 | 骨が未熟な発育期のオーバーユース(使いすぎ) | 男子に多く、膝の下がポコッととび出る | レントゲン |
ジャンパー膝 | 膝のお皿の上とすぐ下の圧痛 | オーバーユース(使いすぎ) | ジャンプ、ストップアンドゴーなどで起こる | 圧痛の限局で診断可能 |
ランナー膝(腸脛靭帯炎:ちょうけいじんたいえん) | 膝の外側の圧痛 | オーバーユース(使いすぎ) | 膝の外側が摩擦によって痛む | 圧痛の限局で診断可能 |
鵞足炎:がそくえん | 膝の内側の圧痛 | オーバーユース(使いすぎ) | 膝の内側が痛む | 圧痛の限局で診断可能 |
タナ障害 | 曲げ伸ばしで引っかかる感じ、違和感や痛み。人に曲げ伸ばしされるとポキっ、コリコリと音がする。膝の前に痛み | ケガや使いすぎ | 曲げ伸ばしでポキポキとクリック音がする | MRI |
離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん) | 運動時の痛み。引っかかり感、ズレ感。膝内でゴリッと音がする場合あり。 | オーバーユース(使いすぎ) | 2:1で男子に多い。大腿骨の85%が内側。15%が外側に起こる | MRI |
円盤状半月 | 急な痛みや引っかかり感、伸びない。膝の腫れ | 生まれつき | 本来三日月型の半月板が生まれつき円盤状。20~30にひとりと言われている。 | MRI |
膝蓋骨亜脱臼 | 外側に脱臼して、膝の前や内側に痛み。膝の腫れ。動きが悪い | ジャンプ後の着地などで大腿四頭筋が収縮しすぎて脱臼してしまう。 | 10代の女子に多く20~50%でくり返す | レントゲン |
画像引用:日本整形外科学会
※右膝正面
① 大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)
② 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
③ 鵞足炎
④ 腸脛靭帯炎
※タナ障害、右膝
画像引用:徳洲会グループ その他の整形外科疾患もくわしく解説されています。
画像引用:専門医のひざ痛チャンネル クリニックが運営するひざ専門サイト。イラストが多くわかりやすいですよ。
※右膝正面
画像引用:専門医のひざ痛チャンネル
※右膝真上から通常(三日月)の半月板。円板状半月はドーナツ状になっている。
出典:日本整形外科学会
出典:朝日新聞
出典:順天堂医院
出典:徳島大学整形外科
オスグッドの予防法
オスグッドの予防法として、ストレッチが簡単で、しかも重要です。痛みがあるときはアイシングをおこなう。
できるだけ休むのが1番の薬です。
オスグッドの軽い症状(スポーツ後に痛むときがある)
大腿四頭筋(太ももの前)のストレッチ
画像引用:ヨミドクター 読売新聞の医療・健康・介護サイト 専門用語を使わずわかりやすいサイトです。
1セット30秒、2~3セット
大腿四頭筋のひとつ、大腿直筋は下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)という骨盤の部分に付着しているので股関節から伸ばすストレッチが必要です。
スポーツ後は、膝の下にアイシングをおこないましょう。
※大腿四頭筋とは、内側広筋・外側広筋・中間広筋・大腿直筋、4つの筋肉からできています。
オスグッド中程度の症状(スポーツ後に痛む、日常生活はふつうにすごせる)
大腿四頭筋のストレッチや、アイシング。
運動量を減らす必要あり。サボっていると思われないようにコーチやチームメイトに事前に説明しておくとよいでしょう。
下半身はあまり使わず、上半身のトレーニングや戦術や、理論的なことを勉強する時期にする。
オスグッド重い症状(スポーツ中も痛む、日常生活も痛みを感じる)
軽いストレッチで痛みがあるときは無理におこなわないで医師の支持にしたがう。
下半身を使わないトレーニングか、安静にする。
痛みが落ち着き、ランニングなど再開するときは、芝生の上など膝に負担がかからない場所ではじめる。
急な動き(ストップアンドゴー、ジャンプ)はひかえる。
サポーター
脛骨粗面(けいこつそめん)に対応したサポーターがあります。サポーターはあくまでサポートです。無理はダメですよ。
オスグッドの治療
オスグッドの予防法で大腿四頭筋のストレッチをお伝えしました。この記事を読んでいるあなたは、「すでにストレッチしている」「整骨院で電気治療もしている」そんなかたもいるかもしれません。
ストレッチをしていても改善しない人はたくさんいます。それはなぜか?
身体のバランスが大腿四頭筋や膝への負担が増える状態にあるからです。
1.股関節横にある中殿筋の影響
画像引用:クリニカルマッサージ医道の日本社P281
中殿筋は股関節を内旋させる作用があります。
内旋とは内また・スキーのボーゲンのような状態をあらわします。
股関節から内旋すると膝が伸びにくくなります。曲がった膝はスクワットのような状態になるので、大腿四頭筋への負担が増えてしまいます。
改善方法
中殿筋のストレッチやマッサージ
画像引用:クリニカルマッサージ医道の日本社P284
2.体幹の中心的な筋肉、大腰筋(腸腰筋)の影響
画像引用:クリニカルマッサージ医道の日本社P274
大腰筋が縮んだ状態だと腰も伸ばしにくかったり、股関節も曲がったりします。大げさにいうと老人のような姿勢になります。股関節が曲がったままだと、膝関節も伸ばせません。結果的に大腿四頭筋への負担が増えています。
改善方法
大腰筋のストレッチやマッサージ
画像引用:クリニカルマッサージ医道の日本社P276
細かい調整ポイントはあります。しかし多くの場合、中殿筋と大腰筋の状態を整えると膝関節への負担が減ります。
大腰筋の状態がよくないと、腰痛になりやすいので、膝も痛いけど腰痛もある人は注意が必要。
この患者さんもそうでした。
オスグッド病からのスポーツ復帰
オスグッドの痛みがなくなれば復帰可能。
ただし、
- いきなりハードなメニューをおこなわない
- ウォーミングアップやクールダウンの体操やストレッチを入念におこなう
- サポーターなど着けて練習をする
- 練習後はアイシングをおこなう
治る期間
安静にしている程度によって個人差はありますが、3ヶ月~6ヶ月を目安にします。
痛みがなくなれば復帰可能。
まとめ
オスグッドは治らないケガや病気ではありません。安静にしておけば痛みも落ち着きます。しかし、スポーツが楽しくておこなっているので休みたくない子供たちが多いです。
オスグッドで数ヶ月部活動を休んでも、長い目で見ると休んでよかったと思えるはずです。今無理をすると、他のケガが発症するかもしれません。
アイシングやストレッチをおこないながら、大人になってもスポーツが楽しめるように休む勇気を持ってください。
成長痛に関してはこちらの記事をご覧ください。
https://enshp.com/blog/post-9059/
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出典:wikipedia
画像引用:読売新聞の医療・健康・介護サイト「ヨミドクター」
画像引用・出典:日本整形外科学会
引用:サポーターのZAMST
画像引用:徳洲会グループ
画像引用:専門医のひざ痛チャンネル
画像引用:ヨミドクター
出典:朝日新聞
出典:順天堂医院
出典:徳島大学整形外科