息を吸うと肩甲骨が痛い症状と、原因と何科を受診するのかお伝えしています。肩甲骨以外に胸が痛いなどは、鍼灸や整体ではなく病院へ行きましょう。
息を吸うと肩甲骨が痛い(左側右側)場合の症状
筑波大学医学医療系整形外科准教授の國府田正雄先生が監修した記事によると、症状を3つにわけています。
胸痛や息苦しさがある
痛みが背中から肩や胸など広範囲に広がっている
痛みが激しい
このような痛みの場合、救急車など緊急事態と考えてください。
腕や手のしびれがある
他の症状はないが痛みが強い
翌日や近日中に病院を受診しましょう。
日常生活に支障はないが、痛みが慢性化している
場合によって、病院の受診を検討しましょう。
引用:メディカルノート
その他の症状として、
- 突然痛む
- たまに痛む
- 胸も痛む
- 肋骨も痛む
- 息苦しい
- 冷や汗がある
- 脈が異常に早かったり遅い
- 脈が見られる
- 血圧に左右差がある
- 顔面蒼白
などがある場合は、鍼灸や整体ではなくまずは病院受診をおこなってください。異常なしならば、体のバランスの崩れなので、鍼灸や整体もよいでしょう。
- 病院を受診するときにはどんな時に何をして痛くなったか
- 糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病の有無
- 喫煙歴
などを伝えておきましょう。
首から上の症状も一緒にある場合も注意が必要です。
左肩、背中、首、のど、下顎、頬部、歯、後頭部などに出現するとされている。発作が強いときは、前胸部から左肩、左上肢に放散するといわれている。
引用:咽頭痛を主訴とした急性心筋梗塞患者の1例 田中 克典, 糸数 哲郎, 小田口 尚幸
息を吸うと肩甲骨が痛い!左側の症状を訴える患者さん
息をすると肩甲骨の左側が痛いと訴えている患者さんがいました。
※この方は以前から来院されている患者さんで、なおかつ病院での検査も受けて内臓などに異常がないこともわかっています。
背中の痛みの場合、お伝えしているように内臓からの痛みと言うことも考えられるので、まずは病院への受診をお勧めしています。
デスクワークが主で、普段から慢性的に肩こりだったり、腰痛があったりする男性です。
運動することもほとんどなく、仕事の休憩時間中でもスマホ操作しているのでほとんど座りっぱなし。誰が見ても猫背タイプです。
本人は急に痛くなったと言っていましたが、ほとんど同じ姿勢で過ごしているので筋肉が限界を超えて、普段の痛み以上の激しい痛みを発症しているようでした。
本人曰く、呼吸をするのも辛く肩甲骨の真ん中が痛むとのこと。
痛いけど柱の角なので肩甲骨の痛い場所を圧迫すると痛気持ちよく、痛みが軽減すると言っています。
腕の動きも悪く、なんとなくしびれているような感じがすると言っていました。
触ってみても右の肩甲骨と左の肩甲骨の厚み(腫れぼったさ)が違っており、棘下筋が使われすぎていてその中の神経をイタズラしてるようでした。
体のねじれを補正して、首から出る神経の流れを良くして、肩甲骨の可動域を出していきました。
患部は擦る程度でしたが、施術後は肩甲骨の腫れぼったい感じもおさまっています。痛みはまだあるがだいぶマシになったと言うことです。
息を吸うと肩甲骨が痛い原因
大きくわけて、
- 姿勢の悪さ
- 運動不足
- 内臓由来
になるでしょう。重要なので、再度伝えますが、内臓痛の可能性もあるのでその他の症状があるなら病院へまず行きましょう。
スマホやゲームのしすぎ
スマホもゲームも座って猫背姿勢になりがち。
そうすると首はこうべをたれた状態になり、首の後ろや肩甲骨周辺の筋肉が硬くなり、体のバランスによっては、肩甲骨も痛く感じてきます。
1時間に1度ぐらいは休憩を挟み、トイレに行ったり、上半身を軽く動かすなどをしてリフレッシュを行っておきましょう。
運動不足
血液は筋肉のポンプ作用によって全身に流れていきます。
ふくらはぎは第二の心臓と聞いたことありませんか? ふくらはぎの筋肉が伸びて縮んで動くことで足から心臓に血液が戻されていくのです。
座りっぱなしだと背中の筋肉がほとんど動かないので、筋肉自体がポンプのように動くことがなく硬くなってしまいます。
意識的に背中を動かしたり全身を動かすストレッチや体操を行っておきましょう。
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ストレスや緊張からのコリ
人はストレスを感じると緊張します。
そして筋肉も緊張してしまいます。
筋肉が緊張した状態は硬く柔軟性がないので、肩甲骨の上に位置する神経なども圧迫されるので、だるい・体が重い・痛みや痺れが出てくることがあります。
ストレス解消には軽く汗を流すような運動をする意識が良いでしょう。ずっと寝ていても多少は筋肉の緊張は取れても改善することが難しいです。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
胸郭出口症候群とはあまり聞き慣れない疾患名かもしれませんが、鍼灸院に来院する方もかなり多いです。
腕神経叢と言う、首から出た神経の束があります。この腕神経叢は首から出て腕とつながるのですが神経が通る場所には他にも太い血管や骨や筋肉が集まっているので、姿勢が悪かったり体格などによって影響をうけたりすると神経が刺激を受けて支配している場所(首、肩、腕、背中)などにしびれや痛みが起きてしまいます。
大きく分けて胸郭出口症候群は、
- 神経や血管が鎖骨のあたりで狭くなって圧迫されて起こるタイプ
- 腕に流れる神経が何型体型などによって人に引っ張られて起こるタイプ
に分けられます。
万歳のような姿勢(洗濯を干す、つり革を持つ)等に痛みを感じる方もいます。
頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニア
一般的に首のヘルニアと呼ばれる症状です。
椎間板とは骨と骨の間のクッションの役目を果たすものです。この椎間板が何かのきっかけによって飛び出してしまい、神経を圧迫してすると首や腕肩甲骨などに痛みや痺れが出ます。
腰の椎間板ヘルニアと同じで若年層(20代や30代)に多い症状です。
頚椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう)
頸椎後縦靭帯骨化性これもあまり聞きなれないかもしれませんが、首の後ろにある靭帯(後縦靭帯)が骨化してしまう病気です。
骨化によって神経が圧迫されることによって、肩甲骨の痛みはもちろん手足などに痺れが出て動きも悪くなる場合があります。
急に痛みが出てくることが少なく、徐々に悪くなって症状が悪化していきます。
気胸
気胸は痩せていている人に多い症状です。
狭心症・心筋梗塞・大動脈解離
背中や肩甲骨周りで多い内科的な病気として、狭心症や心筋梗塞大動脈乖離があります。心臓へ酸素や栄養を届ける冠動脈と呼ばれるものが詰まったり狭くなったりすることで起こるのが狭心症や心筋梗塞。
太い血管である大動脈の血管壁が破れる大動脈乖離でも肩甲骨や背中が痛むことがあります。
どれにしても激しい突然の痛みに襲われ、呼吸が苦しくなり冷や汗も出てくる症状です。
肩こりなどとは違う痛みなので、背中以外の症状も一緒に現れる場合は速やかに119番して救急車を呼ぶ方が良いでしょう。
高齢者の場合は症状が出ていても気がつきにくい場合があるので注意してください。
胆石・胆のう炎・膵炎など
背中や肩甲骨あたりが痛くなる内科的な症状として、胆石、胆嚢炎、膵炎などもあります。これらの痛みも突然だったり繰り返したりするみぞおちや脇腹の強い痛みも伴います。
日ごろから健康診断などを受けていく必要もあります。
その他にも
- 肋間神経痛
- 筋肉痛
- 肋間痛
- 逆流性食道炎
- 帯状疱疹
- 急性胸膜炎、心膜炎
などがあります。
痛みもずっと痛いわけではなく、痛みが消えたり発生してもまたすぐ落ち着く。
痛む場所は同じ、呼吸をすることによって痛くなるなどがあります。
帯状疱疹の場合は、皮膚に水泡が現れる場合もありますが、遅れで出てくる場合もあります。
急性胸膜炎や心膜炎などは発熱があるはずなので、これも普通の背中の痛みや肩こりなどとは区別がつきやすいでしょう。
息を吸うと肩甲骨が痛いだけ?左胸は痛くないですか?
肩甲骨の左側あたりが痛く、左胸も痛い場合などは、心臓からの痛みの疑いがあります。背中だけでなく他の箇所も痛い場合は、速やかに病院を受診された方が良いでしょう。
息を吸うと肩甲骨が痛い(左右)場合、何科を受診すればいい?
突然の激しい痛みで汗をかいたり、その他以外の場所が痛む場合は、救急車を呼んでも良いでしょう。
慢性的に同じ箇所、左の肩甲骨だったり右の肩甲骨あたりが痛くなったりする場合はいちど整形外科を受診すると良いでしょう。
まとめ
肩甲骨が痛いからネットで検索すると、怖い病気ばかりが出てきます。だけど、実際には年齢や現病歴によって違ってきます。
多くの場合、スマホやゲーム・パソコンのやりすぎにより、背中や肩甲骨周辺の筋肉が限界を超えて傷んでいる場合がほとんどです。
ただし、自己判断は危険です。まずは、病院を受診して「内科的・整形外科的に問題なし」というお墨付きをもらってから、バランスの崩れてで痛む肩甲骨や背中の痛みを鍼や整体で治療していきましょう。