先日、定期的に来院される患者さんのお孫さん(小学6年生)が「成長痛でひざが痛い」と来院されました。
3週間後には運動会があるのでそれまでに何とかしたいとのこと。結果的に1回の施術でよくなり無事運動会も出席できたようです。
私は中学生のときに
- 片足だけ正座ができない
- サッカーをしていて胸トラップできない(乳首がしこりのように硬くて痛かった)
友人も同じような症状でした。乳首の痛みはいつの間にかなくなっていました。
私も悩んだ成長痛(ひざの痛みなど)ですが、じつはふたつの意味があります。
1.幼少期(2~6歳)の子供が日中遊びすぎて夜に痛みを訴える
- 表現力が未熟な子供が疲労感を「痛み」として伝えてくる
2.成長期におこりやすい骨端軟骨障害(こったんなんこつしょうがい)
- ひざや、かかとなどが痛くなるもの
このふたつにわかれます。
今回はおもにスポーツなどで痛くなった成長痛をメインにしています。スポーツによる部位別の原因や、対処方法をさらにくわしくお伝えします。
成長痛とは
「原因不明の一過性の痛み」全般を成長痛としてよんでいる。正式名称はなく通称としてお医者さんも使っていることが多いです。
1.幼少期(2~6歳)の子供が日中遊びすぎて夜に痛みを訴える
小さな子供(だいたい2歳~6歳くらい)が対象。日中たくさん元気に遊び、夜寝るときに「足が痛い」と泣いてしまう状態。
痛みはさすったり、抱っこすると治ります。翌朝は何もなかったようにピョンピョン元気に遊びます。
小さい子供の成長痛の原因は不明。しかし、現状で考えられるのは下記の3つ。
- 足の疲れを表現する言葉がまだわからないので、「痛い」という表現をしている
- 満たされない欲求のある子供が、ママの気をひくために言っている
- 集団生活や友達や兄弟関係などの心理的ストレスが自律神経に関係して痛みを増幅させている
足にケガや炎症、打撲はなく、レントゲンや血液検査などの精密検査をしても異常なし。
期間:月1、2回 1~2年続く場合が多い。
※確定診断するのはお医者さんです。いつか治ると思って放っておかないようにしましょう。
次に紹介する2.骨端軟骨障害との判断材料として、下記を参考にしてください。
- 昼も痛みがある
- たまにではなく3日以上痛みがある
- だんだん悪化してくる
- 歩きかたがおかしい
- しゃがむときに痛む
- 足を引きずって歩いている
2.ひざやかかとが痛い成長痛は骨端軟骨障害
整形外科や鍼灸院・整体院を受診する子供のほとんどが骨端軟骨障害(こったんなんこつしょうがい)です。
成長期に出る関節などの障害で、こちらも成長痛とよばれることが多いです。
成長期の子供の骨は、はしっこに成長軟骨があります。サッカーや野球など、運動のしすぎてひざやかかとに痛みを感じてしまう障害です。
- ひざの成長痛:オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)
- かかとの成長痛:シーバー病
いづれにせよ、まずは検査をして休息することが大切です。
骨端軟骨障害は、骨が成長することに関連しますが、骨自体の痛みではありません。なぜなら骨には知覚神経がありません。(骨膜には知覚神経があります。)
骨が伸びる→筋肉が引っ張られる→骨端軟骨に障害が出る
イラストを見てもわかりますが、ひざやかかとが痛みの発生しやすいポイントです。
画像引用:千葉県医師会健康スポーツ医学研究委員会
成長痛と関係する骨端軟骨ですが、ちょうど骨のはしをレントゲン撮影すると、骨端線という身長が伸びるか確認できる線があります。
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骨端線で背が伸びるか知ることができます
以前、尾てい骨痛で通院していた女子中学生がいました。お母様と一緒でしたが、親御さんから「骨端線がなかったのですが、東洋医学で何とかなりませんか?」という質門を受けました。
残念ながら無理です。東洋医学は魔法でも奇跡でもありません……
この話に出てきたように、成長期の子供には骨端線があります。(骨の関節付近)
骨端線があれば、子供の身長はまだ伸びていきます。
骨端には
- 「骨芽細胞:こつがさいぼう」(新しい骨を作る)
- 「破骨細胞:はこつさいぼう」(古い骨を壊し吸収する)
があります。
成長期の骨は骨芽細胞によってグングン栄養を取り込み、新しい立派な骨になっていきます。骨端軟骨から硬い骨になると骨端線が見えなくなり、成長期も終わります。
病気やケガではないので、整形外科でレントゲン撮影してくれるかはわかりませんが、気になる親御さんは病院で相談してみるとよいでしょう。
骨端線が閉じる年齢は、
- 男子:17.8歳
- 女子:15.6歳
で骨端線が閉じるといわれています。もちろん誤差はあるので20歳になってからも身長が伸びる人もいれば、中学生で成長が止まる人もいます。
医学的根拠はありませんが、手や足の骨から伸びて、背骨や骨盤が伸びるとされています。レントゲン撮影には骨盤あたりを撮影すると、骨端線の残りがわかりやすいでしょう。
画像引用:読売新聞の医療・健康・介護サイト「ヨミドクター」
出典:西新宿整形外科クリニック運営ポジビリ
おさらい:ここまででわかった成長痛のこと
成長痛は俗称なので、このような病名はない。
- 骨端軟骨障害による成長痛
- 小さな子供が疲労感を言葉にできないために痛いとうったえる成長痛
成長痛は、ふたつあります。
「成長期が終われば治る」と思っても、他の障害がないか病院で検査をしておきましょう。
成長痛は2歳や6歳、小学生から中学高校生まで幅広い年代でなる?大人の成長痛はある!?
成長痛は大きく2種類あるとお伝えしました。
- 2歳から6歳までは、ボキャブラリーがないために疲労感を「痛い」と訴える。またはママの気をひきたい行動。
- 小学生から中学高校生は、体の成長に関係する骨端軟骨障害。
骨の伸びかたには個人差がありますが、芳村整形外科医院のサイトによると痛みが出やすい時期の傾向として、
- かかとの痛み→小学2~5年生
- ひざの痛み→小学校高学年~中学生
- 腰の痛み→高校生
このような傾向があると伝えています。
出典:芳村整形外科医院
大人の成長痛は医学的な目線でみるとありえません。
※20代前半で身長が伸びる人は例外です。
ひざや足の痛みをうったえる場合、ほとんどが筋肉疲労でしょう。
しかし、
- 筋筋膜性疼痛症候群:きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん
- 線維筋痛症:せんいきんつうしょう
というのが原因で、痛みをうったえているかもしれません。大人のかたで、数日休んでも痛みが変化しない人は、早めに整形外科を受診しましょう。
成長痛はいつからいつまで
第二次性徴期に多いので、小学校から中学校の間に成長痛(骨端軟骨障害)が起こりやすいです。
とくに部活やスポーツクラブで運動をやっている場合、成長ホルモンによって、骨や筋肉が増える時期と重なります。その結果、ひざなどに障害が出てきやすいです。
運動前と後に、柔軟体操などでしっかりメンテナンスが必要です。成長痛に限らず筋肉に疲労がたまったままは、ケガや障害のリスクが増えます。
ひざの成長痛とは
画像引用:日本整形外科学会
ひざの痛みで病院にいき「成長痛」です。といわれた場合、ほとんどが「オスグット・シュラッター病」です。
ひざ(膝蓋骨)の下1~2cm下が飛び出してきて炎症と痛みが出る障害です。
- 部活や運動が活発な10歳~15歳くらいの子供(とくに男子)に多い
- オーバーユース(使いすぎ)の子供が多い
成長期になり、急に身長が伸びてきて膝蓋靭帯へのテンションが上がり、ストレスがかかることが原因です。
私も中学生のとき右足だけなり、正座ができませんでした。
結論:中学生や高校生のひざの成長痛の場合、ほとんどがスポーツ障害です。
オスグット・シュラッター病以外だと、
ジャンパー膝(ジャンパーズ・ニー):バレーやバスケなど、ジャンプして着地するときに負担が増えすぎると膝が痛みます。
オスグッド病とジャンパー膝は痛む箇所が近いので、整形外科で鑑別診断しましょう。
オスグッド病もジャンパー膝も安静にすることが大切な改善方法です。
画像引用:ZAMST
対処法
- 安静(1ヶ月くらい部活を休む)
- ストレッチ
- 湿布やアイシング
- テーピングやサポーター※
※休むことが重要ですが、子供たちは休みたがりません。「夏の最後の大会が迫っている」・「レギュラーをとりたい」など痛みを隠して続ける子供も多いです。
テーピングやサポーターで痛みを緩和することも可能ですが、基本おすすめしません。
次は、「かかとの成長痛」について解説します。